2012年2月4日(土) A班 樹徳高校生27名・教員1名 (リーダー:川田・金子)
この日、桐生災害支援ボランティアセンター泥かき班は、バス3台の大所帯で南三陸町へ行ってまいりました。
そのうちの1班、樹徳高校生たちの活動報告です。
この2日前が全国的な大雪で、太平洋岸の南三陸町でも例年になく25cmもの積雪があり、いつもは茶色い風景が、この日は瓦礫の山も雪をかぶって、一見、違う町の景色のようでした。そんな中、通常のような作業は困難ということで、現地VCが調整してくださり、A班が派遣された先は、わたしたちが昨年12月25日にも活動させていただいた、海から目と鼻の先の町営住宅でした。前回は外階段と廊下の瓦礫撤去および泥かきでしたが、今回は、2班に分かれてそれぞれお部屋の片付け作業を行いました。
作業内容としては、波を受けて損壊してしまった家財道具一切をベランダから地上へ降ろし、ある程度溜まったらそれを分別、の繰り返しです。事故防止のため、上と下とで声を掛け合いながらの作業でしたが、 この日ご一緒させていただいたカリタスジャパンのメンバーの方々や個人登録ボランティアさんたちが、高校生の皆さんが怪我することのないよう、細心の注意を払ってくださり、また、分別方法など逐一ご指導くださり、たいへんお世話になりました。また、生徒さんたちもその指示にきちっと従って、安全を心掛けてくれていました。
人様のお宅のことで、本当に、瓦礫として処分するには胸の痛むようなものばかりでした。もちろん貴重品や思い出の品々は、のちのちお引き渡しできるよう、よけておきましたが、それ以外でも、捨てるに忍びない物があまりにも多く、生徒さんたちからも「もったいない」「これ、本当に捨てちゃっていいんですか?」といった声が度々聞かれました。みな一様に切ない思いに駆られながらも、だからこそ、住人の方にこのような思いをさせないために自分たちがこの作業をやらなければならない、という自覚を持って取り組んでくれていたようでした。本当に足の踏み入れ所もないような状態だった部屋が、作業終了時にはきれいに片付いて、生徒さんたちも遣り甲斐があったことだろうと思っていましたが、意外と「ひと部屋しか片付けることができなかった」という悔いの言葉などが聞かれ、その志がもっと高いところにあった様子が伺えました。
午前中は陽射しに恵まれ、暑いどころか雪の反射で日焼けしてしまうほどでしたが、午後になると一転、時には雪が舞うような空模様となってしまいました。しかし、主に屋内での作業だったこともあり、風が凌げましたし、また、クリスマスの時のように潮が上がってくることもなく、通常に較べると、作業し易い環境にあったと言ってよいと思います。
さて、今回、わたしたちも久し振りに高校生の引率をさせていただいたわけですが、みんな本当に活気があって、よい意味での「若さ」を存分に発揮してくれたので、いつになく明るく爽快なボランティア活動の一日となりました。元気なだけでなく、現地リーダーや他のボランティアさんたちとも打ち解けて、共同作業も上手くこなしていましたし、また、お昼休みに地元の方のお話を聞いてきたという子もいて、さすがはこの寒さのなか志願して来てくれた皆さん、休憩時間には雪合戦に興じながらも、作業の間はやるべきことをきちんとやるというメリハリのきいた姿勢に感心させられました。
今回の参加者は全員が3年生、卒業を間近に控え、人生の新たな一歩を踏み出す彼らに、この日の体験は大きな追い風となってくれることと思います。帰りのバスの感想でも、「普段は経験しがたいことが経験できてよかった」「またぜひ参加したい」といった声がたいへん多く聞かれ、ひとりひとりが、あの現場でさまざまなことを感じ取り、その意味について考えてくれたのが伝わってきて、わたしたちにとっても実によい刺激となりました。失礼な言い方かもしれませんが、子どもを連れて行ったら大人になって帰ってきたような印象さえ受けました。引率してくださった先生もさぞかし誇らしかったことと思います。
今回もまた現地VCの皆さまをはじめ、多くの方々のご協力により無事活動を遂行することができ、心より感謝いたします。また、同行取材してくださった桐生タイムスの記者K様も、寒い中、わたしたちの活動に寄り添ってくださり、また、思いを共にしてくださり、ありがとうございました。質問を受けて、その答えを言葉にすることで、わたしたちもまた自らの姿勢について新たな発見がありました。
なによりも、参加してくれた樹徳高校3年生のみなさん、たいへんお疲れさまでした!楽しい一日をどうもありがとう。ぜひまた一緒に活動しましょうね。